秋田いなふく米菓

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商品開発ストーリー

米菓の常識を覆した“湿った”おかき
ロングセラー商品「ぬれおかき」

まるでお餅のような食感のやわらかい「ぬれおかき」。
米菓の新ジャンルとして、全国に多くのファンの方がいる特長のある米菓です。
当社「ぬれおかき」の誕生の裏には、独特な食感とやみつきになる味わいを出すため、様々な工夫と試行錯誤によるチャレンジがありました。

「湿った米菓」黎明期
職人魂に火をつけた課題へ挑む

しっとりとしたおかきや煎餅が流行したのは1996年頃。米菓各社がこぞって発売し全国的にブームとなりました。しかし、当時の製品は塩分が強すぎたり、時間が経つと食感が堅くなるなど、日持ちがしない品質上の課題がありました。

そんな中、当社では何とか湿った食感を長持ちさせることはできないかと製造現場から声が上がり、また取引先の要望もあって研究開発を続けていくことに。他社がフェードアウトするなか、試行錯誤を伴う地道なチャレンジが始まります。この決断は経営判断というよりも、目の前の課題を無視できないまさに現場の職人気質によるものでした。

“しっとり食感”の寿命を10日から2ヵ月に

最大の課題は、ぬれおかきならではの特長ある美味しさを生み出す“しっとり食感”を維持すること。そもそも米菓の特性上、湿った状態では澱粉の老化による製品の硬化やパサつきなどの品質劣化は避けられず、日持ちがしないのは当たり前。これを解決するには、根底を覆す発想の転換が必要でした。

開発時のしっとりとした柔らかさはせいぜい持って10日程度、生ものと言っても良い印象でした。店頭での販売や、消費者が他の米菓と同じように楽しむためには、最低でも2ヶ月程度の“しっとり食感”の維持が必要。それを実現するためには、保水性を高めるための技術を新開発する必要がありました。

失敗と挫折の連続、暗中模索の日々が続く

それまでの知見から、トレハロースの保湿効果に着目し澱粉老化抑制効果に活路を見出し、特性の調味液を開発するため、日々試作と検証を繰り返しました。しかし、保存性の向上と裏腹に、持ち味の“しっとり食感”を維持することが難しく失敗が続きます。

特に、焼成時間と浸漬時間による作用に惑わされ、焼成時間が短いと硬くなり、長ければ生地が焦げてしまう。また、浸漬時間が足りないと調味液の浸み込み具合にムラができ、硬い部分と柔らかい部分ができてしまうなど、データをとりながら対策を練る日々が長く続きました。

“しっとり食感”の維持に成功

開発に挑んでから1年以上が経過した頃、遂に調味液の風味と柔らかさを両立できる手法を見出し「半生米菓の製造方法」としてメソッドを確立、製造特許を取得するに至ります。まさに現場の執念が身を結んだ瞬間でした。

さらに、調味液に使用する醤油も工夫し、塩分濃度を押さえたものを特別に製造。マイルドな味わいと香りの良さを兼ね備え、昆布と椎茸のだしが効いたぬれおかき専用だれとして完成しました。

こうして開発され賞味期限を大幅に伸ばすことができた「ぬれおかき」に対し、工場の製造ラインを一新して増産体制を整えて行く事になります、第一弾として1996年に「鬼仲間」の商品名で全国販売。商品のごつごつした見た目からのネーミングでしたが、現場で技術の鬼と化した職人たちのチームワークを象徴するような名前のようにも思えます。その後も改良を重ね、更に“しっとり食感”の維持が可能となり、1998年「やわらか半生餅」を全国発売しました。

口コミで火が付き、ネット通販でブレイク

時代はインターネット隆盛期、コンビニや大手スーパーの他、ネット通販も活用して展開したところ、瞬く間に口コミで話題となりました。「一度食べたらやめられない」「何ともいえない食感」という反応から人気に火が付き、売上が急上昇。大ヒットに繋がり、工場は人員増強と休暇返上を余儀なくされるほどの増産体制で乗り切ったほどです。

この年からぬれおかきは、職人技が生み出した名品として当社の看板商品の座を得ることになりました。その後、当初の勢いは落ち着いたもののおかきの一ジャンルとして認識が定着、安定した売上を作り上げる定番のおかきとしての道を歩んでいます。

近年は、SNSを介して若い世代から新鮮さで人気を集めたり、観光地で串差しぬれおかきが登場するなど、商品の際立った特徴ゆえに再ブレイクも頻発。世代を超えて愛される米菓として「ぬれおかき」のさらなる可能性を感じさせる日々となっています。